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2人と1匹が、一緒に暮らし始めた頃の物語。
当時書かれたものなので、今とは色々違うところも…。


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世良も新しい環境にすっかり慣れて…


『世良クンと僕』 【31】


2005年夏


完全室内飼いのおぼっちゃま猫である世良クンは
網戸越しに外を眺めるのがご趣味だ。

家の前を通る人を眺め、
家の前で鳴く鳥を見つめ、
家の前を通ろうとする猫とガンたれあってケンカする。
(これはちょっと困る、弱いくせに!)


お客さんが来るとベッドに向かって一目散の臆病な世良クンだが、
家の外にいる人は平気なんである。



20071023102059.jpg

 今はそこまで臆病じゃないけど、パトロールは相変わらず


窓辺にたたずむ可愛い世良クンは近所でも評判の人気者…
かどうかは知らないが、先日は強敵が現れた。


それはとある昼下がり、
静かな通りにハイテンションな声が鳴り響いた。


「あ、ニャンニャンだーー!おかーさん、ニャンニャンがいるよー!」


声の主はお向かいさんの元気な坊や(推定4歳)。


「ニャンニャン鳴いてー!ニャンニャン鳴いてーー!」


世良クンは無言であった。

なんだこのやかましい小さい人間は、と思っていそうな後ろ姿だった。
猫というのは鳴けと言われて鳴くような生き物じゃないのである。



20071023102902.jpg

  そのとき、どんな顔をしてたんだろう


鳴いてーと叫びたてる坊やに、お母さんが助け舟を出した。
「こんにちわって言ってごらん。こんにちわ♪」

「こんにちわ!!!
ニャンニャン!こんにちわ!!!」



そのごあいさつは向こうの通りにまで聞こえそうな
大きなお声で繰り返された…。


こ、これはもう鳴くしかないよ世良クン、返事をするんだ。

鳴け!鳴くんだ世良!!とリングサイドでジョーを応援する
丹下段平のような気分でハラハラしていると、
僕の無言の訴えが通じたのか、
世良クンは「ニャア~…」と一声鳴いた。


「ニャンニャン鳴いたーーー♪」坊やは大喜びである。
僕もホッとした。

「ニャンニャンもういっかい鳴いてーーー!」

つきあってらんないよとばかりに
世良クンはカーテンをくぐって部屋に戻った。


「ほら、猫ちゃん『こんにちわ、またね』って言ってたのね。」
お母さんはフォローしてたけど、どう聞いてもそうは聞こえなかった。

無表情、無感動、無味乾燥の3拍子。
正確に訳すなら「うっせーな、鳴けばいいんだろ鳴けば。」ってとこだろうけど、
子供には真実を教えないほうがいいときもあるんだね、お母さん。


そしてそんなでもとりあえず、鳴いてくれてありがとう世良クン。


                     つづく


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おにーちゃんの仕事、ピークを迎え…


『世良クンと僕』 【32】


2005年夏


仕事が忙しい。

連日12時過ぎまでの残業で、土日も休みなし。
彼女の口から「社長を蹴ってやる!」などと
物騒な言葉も飛び出すようになった。

夜中の3時ごろ寝て、朝起きて。
こんな生活でも意外とがんばれるもので、
自分の丈夫さを再認識したり。



20071029232300.jpg

          "でもそんなの関係ねぇ!"


そんな僕に合わせているので、
彼女の生活時間もだいぶ狂っているらしい。

朝、僕に合わせていったん起きたものの、
昼まで寝直したので洗濯ができなかったとか、
昼から夕方まで昼寝したので買い物に行けなかったとか、
雨が降ったので掃除ができなかったとか言っている。
(最後のは因果関係がよく分からない)


そしてそんな彼女の生活時間に合わせようとして、
世良クンまで調子を崩しているらしい。


20071029233121.jpg



変な時間に寝ている彼女を起こそうとして諦め、一緒に寝ていたり、
僕がいないのであまり遊んでもらえなくて運動不足だったり、
ごはんの時間なのに彼女が寝ていて食事が遅れたりしているらしい。


一番変わったことと言えば、朝起こしに来なくなったことだ。
目覚ましが鳴ってからあくびを始めるようになった。
おそらく僕らに合わせて夜中まで起きているからだろう。


もう一つ…僕がちょっと家でゆっくりしていると、
「にいちゃんなんでいるの?」みたいな目で見られるようになった。
これはまずい。

このままではいずれ忙しすぎて
子供に顔を忘れられる父親のようになってしまう。

社長、休みください。


                     つづく


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この頃はやたらと世良を無理やり抱っこしていたおにーちゃん


『世良クンと僕』 【33】


2005年夏


世良クンは僕が抱っこすると「イニャー!」と抗議の声を上げる。
かまわずに押さえつけていると、敵もいつまでも鳴き続ける。

すると彼女がやってきて、
「いぢめないでちょうだい」と世良クンを取り上げていく。


僕はただ抱っこしているだけなのに…。


彼女は文句を言われないのに、
なぜ僕が抱くと「イニャー!」なのだ。



20071106095340.jpg



世良クンは彼女のひざでゴロゴロと幸せそうにしている。
そして僕と彼女が会話を始めると、
世良クンはまたも抗議の声を上げた。


なんだよその抗議は。

『他の男と話すな。僕だけをかまえ!』だと?
なんてゴーマンな奴だ。
そんなアプローチじゃ女性には嫌われるぞ!



20071106095506.jpg



…と思うのに、
なぜか彼女は「あらごめんね。世良が1番よ♪」などと言って
なでている。


1番??世良が1番???うぬぅ。


「世良クン!猫の中では1番っていう意味だよ!猫の中で!」

今日も彼女がケラケラと笑っている。


                     つづく


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世良もすっかりご近所に慣れて…


『世良クンと僕』 【34】


2005年夏


世良クンにケンカ友達ができてしまった。

もともと世良クンは猫と仲良くできない猫である。
ついでに言うなら人間にもたいして友好的ではない。
ただ一人、おねえちゃんを除いては。



20071112223427.jpg



僕らの家がある辺りには、けっこう猫がいる。

線が細くて綺麗な三毛ちゃん、
見るからに強そうなシロさん、
ちょっと毛が長くて洋風なシルバー君。

世良クンは彼らの姿を見かけると窓越しに威嚇を始めるのだが、
ぜんぜん相手にしてもらえない。

そりゃまあ、若い室内猫がいくらウーウー唸ったって、
外を歩くいっぱしの大人猫たちの眼中には入らないよなあ。

どっちみちケンカできるわけでもないし。



20071112223816.jpg



ところがそんな世良クンの相手をまともにする、
世良クンレベルの猫が登場してしまったのだ。
ちょっとゆがんだお顔がチャームポイント(?)の若そうなブチくん。


家の玄関ドアには少々ガラス部分がある。
ブチくんは世良クンの威嚇に気づくと、
ずいずいやってきて戸越しに睨み合い、
二匹してドアに体当たり合戦を始めてしまうのである。


はたから見てると非常にバカっぽい。若いな~。


しかし冗談で済まないのはその声で、猫のケンカ声ってすさまじい。
猫の鳴き声は「ニャオ~ン」だと思ってたんだけど、
「ギャオオオオウウウウ!!!」なんて声も出せるんだねぇ。

近所迷惑なので、ケンカが始まると世良クンは閉じ込められる。
宿命のライバルはすぐに引き裂かれてしまうのであった。


…先日のそれは、朝の6時だった。
最初のうなり声に真っ先に気づいた彼女が
パッと起き出して階段を駆け下り、
(ここらへんさすが、育ての母)

「ギャオオオオオオ!!」と騒ぎ始めた世良クンを
別の部屋に閉じ込めた。


そして寝直し。

さて目覚ましのあと僕らが目にしたものは…
心ゆくまで破壊された世良クンの爪とぎ用ダンボールであった。



20071112224440.jpg



『破壊王あらわる』とコメントをつけたくなるような見事な破壊っぷり。


「まあ、爪とぎは世良のものだから…ね。」と彼女も苦笑気味。

確かに…大興奮状態で閉じ込められた時の破壊活動の対象が
家具でもカーペットでもなく、
私物(?)だというのは褒めるべきところかもしれない。

次回に備えて新しいの買ってやらなくちゃな…。


                     つづく


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いろいろと差をつけている世良…


『世良クンと僕』 【35】


2005年夏


目覚ましが鳴っても眠っているおねえちゃんを起こすことは、
ただ一つの世良クンの『役に立つ』行為である。



20071119223045.jpg



目覚ましが鳴ったら人間は起きるべきだと
しっかり理解しているようで、
これ以上ないほど偉そうな声で鳴く。

「やいやいやい、起きろ起きろ」という感じで非常に強気だ。
もし僕がこんな起こし方をしたら嫌われてしまいそうだが、
世良クンは嫌われない。



20071119223308.jpg



ポイントはやはりかわいさにあるようで、
彼女を起こすときに世良クンは頭突きの姿勢をとり、
えいっ、えいっと頭を彼女の体にこすりつける。

その様子がとてもかわいらしく、
あまりのかわいさに思わず起きてしまうらしい。


僕のほうはと言うと、
こないだの日曜にジャンピングアタックを食らって「イテーーーッ!」という、
まことに麗しくない目覚めをいただいた。



20071119223415.jpg



この差はなんなんだ。
もしかして僕が時々寝ている世良クンにちょっかいを出してる仕返しだろうか。


アタックを食らった後、僕がのんびりと起き出していくと、
世良クンはぐうぐうと眠っていた。


癪に障るので、僕はまた世良クンにちょっかいを出すのである。


                     つづく


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夜寝るときも、納得がいかないおにーちゃん


『世良クンと僕』 【36】


2005年初秋


まだ暑い日もあるが、そろそろ夏も終わりが近づいている。

「名古屋のほうが断然暑い。」と言い放つ
名古屋育ちの奥さんと猫が住む我が家では、
どうやら扇風機1台で夏を乗り切りそうだ。



20071126232646.jpg



1台の扇風機は、昼は1階、夜は2階とガタゴト移動する。
寝るときは彼女の側に置かれる…別にそれはかまわないんだけどね、
僕はお腹冷やすとやばいし。


でも、一番風の当たる特等席に猫がいるってのは
ちょっと納得いかないものがある。



20071126232817.jpg



扇風機に最も近い場所にのうのうと転がって、
そのくせ彼女にはぴったりくっついている。


くっついてたら暑いだろっ。離れたらっ?


20071126233001.jpg

「だってこのベッド狭いからね」


悪かったなっ!


                     つづく


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おにーちゃんが欲しかったピアノが届きました…。


『世良クンと僕』 【37】


2005年秋


うちにピアノが来た。と言っても電子ピアノだけど。
僕が弾くために買ったのだけど、彼女のほうがハマってしまった。

彼女はピアノはまったくの初心者で、
最初は右手と左手を別々に動かすこともできなかった。

時々ちょこちょこ教えてあげているとどんどん上手になった。
いったい一日に何時間練習しているんだろう。

彼女が生まれて初めての肩こりを経験したことからも
その熱中ぶりが伺える。



20071203232458.jpg



この結果、割を食ったのは世良クンだった。
おねえちゃんがちっとも相手をしてくれないのである。

しかも敵がピアノでは、テレビやパソコンと違って
おひざで寝転んで片手間になでてもらうこともできない。

にゃああ~~と鳴いてみても
ヘッドホンをつけているおねえちゃんには聞こえない。



20071203232829.jpg



かまってほしい度がピークに達すると、世良クンは実力行使に出る。
と言っても鍵盤の上にバーンと飛び乗るなどという野暮なことはしない。

そんなことをすれば怒られちゃうし、
たとえ抱っこしてもらえても
おねえちゃんとの関係はギスギスしてしまうだろう。


じゃあどうするかというと、
そっと自分の頭をピアノのペダルに近づけるのである。

気持ちよく弾いている彼女の足の下に、ふにゅ?という変な感触…。

ふにゅ??と下を見ると、
寝ながらぐいぐいと体を伸ばしてきている世良クンの頭が足元に…。


それはまさに自分の頭を、体をかけた脅迫と言える。

『このままピアノを続ければボクの頭を踏み潰すぞ!それでもいいのっ!?』

逆に言えば世良クンの頭を踏みながら演奏を続けるなんてこと、
絶対におねえちゃんがするわけないと見切っているのである。

なんにしてもこんなおもしろい、
かわいい様子を見て誰が怒ったりできるだろう。



20071203233200.jpg



もちろん彼女は「なにしてるんでちゅか世良は~~もう~~~」と
一瞬でお母さんの顔になって世良クンを抱き上げる。

そのあとはらぶらぶタイムである。
してやったりの世良クン。

こんな様子を見ていると、
円滑な交友関係の築き方とか、
愛しい人へのラブアプローチとか、
押してだめなら引いてみろとか、
猫とはいえ色々と参考にすべきところを感じさせられる。


一歩間違ったらストーカーだけどね。


                     つづく


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おにーちゃんの椅子を世良が気に入っています。


『世良クンと僕』 【38】


2005年秋


最近は椅子が3つ出てるのだ。

僕の椅子、彼女の椅子、もう一つは世良クンの椅子のつもりである。

猫にしてはずいぶん贅沢なことだと思うのだが、
相変わらず世良クンは僕の椅子でくつろいでいる。

近頃は猫ベッドもよく使ってくれるようになったけど、
僕が出かけたと見るやベッドから出てきて
「やれやれ…」と椅子に乗ったりするらしい。



そ



仕事から帰って世良クンに「ごはんを食べるからどいてください。」と
お願いするのはもはや日課だ。


一句できた…『世良クンが どいてくれたら うれしいな』。


切実な願いと遠慮がちな心情が如実に表わされていてなかなか良い。
悦に入っていたら間髪いれず彼女に下の句を返された。


『それでどいたら 猫じゃないけど』。


むむっ…やはり猫の本質をつかむことではかなわない。



てい



彼女の言葉どおり、世良クンは今日も微動だにしないのであった。


                     つづく


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おにーちゃん、ムードたっぷり盛り上げようとしたけど…?


『世良クンと僕』 【39】


2005年冬


11月になって、彼女がとっておきのものを部屋に飾った。
北海道に旅行に行ったときに買ったガラスのクリスマスツリー。



つり



11月になるまで我慢する、とずっと封印してあったのだ。
細工の細かいとても綺麗なもので、
小樽で彼女が一目惚れして僕が買ってあげた。


プチライトの光る台に乗せると色とりどりに光る。
部屋の照明を落としてみる。



きれ



僕は彼女が好きなクリスマスソング、ホワイトクリスマスを弾いてあげた。
(まだクリスマスにはずいぶん早いけど)とてもロマンチックないいムードだ…。


と、そこにボリボリポリポリ…と音が響いた。


世良クンが残りごはんを食い始めた音だった。


♪~~♪~~♪~~~ボリボリポリポリ…


…僕はピアノを弾くのを断念した。ムードはぶち壊しである。


………お前、わざとやってるでしょ?


ふん



                     つづく


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冬から暮らし始めて、また冬がやってきました…。


『世良クンと僕』 【40】


2005年冬


悪夢を見ていた。

布団をかけてもかけても取られてしまうという…
いやそれは夢じゃなくて現実。



ねん



夢の中で僕は妻とのデートの待ち合わせを気にしていた。
ところが仕事がなかなか終わらないのだ。

時間はどんどん過ぎる。彼女に連絡する手段もない。
もうこんなに待ち合わせに遅れてしまっている。

彼女はどんなに怒っているだろう。
もうだめだ、嫌われてしまう!


…というところで目が覚めた。
やっぱり布団はかかっていなかった。



sろあ



僕が悪夢と戦って冷え冷えと起きると、
隣では彼女がしっかりと毛布と布団をかぶってぬくぬくと寝ていた。


さらに世良クンは彼女の足の間(!)で、電気アンカを枕にぬっくぬくと寝ていた。


なんだかやるせない、冬の朝だった。


                     つづく


  ↓ 風邪引かずにがんばっていた、おにーちゃんにポチ。


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冬は風邪をひきやすい季節です…。


『世良クンと僕』 【41】


2005年冬


朝から世良クンが不機嫌だった。



むう



彼女のひざでなでられても、まるで僕に対するような不満声。
ぷいっとひざから降りてしまったりして、
彼女は「世良おねえちゃんが嫌いなの?」とおろおろしている。


僕にいたっては、なでたら、噛まれた。
いじめたわけでもからかったわけでもない。
なでただけで、噛まれた。

それも甘噛みとか、興奮して思わず噛んじゃった、ではなく、
口をあんぐりと開けて、尖った犬歯を一本ぐっさりと手の甲に突き立てるという、
思いっきり意図的な噛み方であった。

『うるせえん だ よ!という感じだ。



あん



なんじゃらほいと思いながら会社に行って、残業を終えて帰ってくると、
なんと世良クンはまだ不機嫌だった。
一日中不機嫌だったらしい。

彼女はご機嫌取りに5回も遊んであげたらしいが、
まるで猫おもちゃが親の仇でもあるかのように暴れまわっていたとか。


見ていると、世良クンくしゃみをしている。
くしゅくしゅ、くしゅくしゅ。

元気いっぱいだし熱はないので心配するほどでもないけど、
どうやら鼻風邪でもひいてしまって気分が悪くてイライラしているらしい。



くう



お気に入りのテレビに飛び乗るのに「ウニャッ!」と機嫌の悪い発声。
鼻風邪を人のせいにして当り散らしている。


あまりの態度の悪さに僕は思わず本気で説教を始めてしまった。

「世良クン、お鼻がグズグズして気持ち悪いのは分かるけど、
キミの不機嫌は周りの人までいやな気持ちにするんだよ。だいたい…」

こんこんと諭したかったのだが、「今日はそっとしておきましょ。」と
彼女に止められてしまった。


甘い!こんなワガママを許したらろくなことがないぞ!と反論したかったけど、
『猫に説教する』という行為がいかにも無駄っぽいのは確かだったので、やめておいた。


                     つづく


  ↓ 諭しておきたかった、おにーちゃんにポチ。


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灯油ストーブは灯油を入れるのが面倒なのです…。


『世良クンと僕』 【42】


2005年冬


名古屋育ちの奥さんと猫は、二人とも寒がりである。

彼女はふかふかのボアスリッパ、世良クンは毛皮を着ているくせに、
二人して寒い寒いと騒ぐので我が家では早々に灯油ストーブが大活躍だ。

世良クンが彼女のおひざでぬくぬくしていた時、
ストーブからピー、ピー、と給油のサイン音。

「お願いしま~す」と世良クンが片手を上げて言うので、(声と動作は彼女による)
僕はしぶしぶ玄関に給油しに行った。


おね



玄関寒いんだよね、とか思いながら給油していると、
部屋から彼女の声が…。

「いいのかな世良そんなことして~~。おにいちゃんに怒られるよお~~~。」

ん?部屋に戻ると…


えへ



なんと世良クン、僕が席を立った隙に僕の椅子に移っているではないか。
おねえちゃんのひざからわざわざ降りてまで、嫌がらせかっ。
僕が今なにをしてたと思ってるんだっ。



ふん



僕はひとしきり世良クンと席争いをした後、世良クンを猫ベッドに放り込んだ。


                     つづく


  ↓ 地味に嫌がらせされていた、おにーちゃんにポチ。


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おにーちゃんのレベル、だんだん下降中…


『世良クンと僕』 【43】


2005年冬


僕が彼女に怒られていると、
(スーツはちゃんとハンガーにかけて、濡れたバスタオルを放置しないで、etc.)
世良クンは彼女に迎合してえっらそ~に鳴く。



わん



まさにこんな感じ。
「そーだそーだ、お前が悪い。や~い、おねえちゃんにおっこられた~~。
 やーいやーい。」


…コノヤロウ。


今朝は世良クンが彼女に怒られていた。



おか



最近部屋の戸を開けることを完全に覚えてしまって、
暖房中だというのにやたらと無意味に戸を開けてしまうからだ。


やーい、今日は世良が怒られた。へーいへーい。

限りなく同レベルな、今日この頃。

                     つづく


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おにーちゃんプレゼント祭り…


『世良クンと僕』 【44】


2005年冬


吉祥寺の公園に二人で紅葉を見に行って
ついでにデパートでクリスマスプレゼント用にかわいいハート型ペンダントと、
おまけにペンダントとおそろいのリングまでねだられた日のことだった。

彼女がかわいい雑貨屋さんを見つけたので入ってみると、
実にかわいらしい猫用チョーカーが売られていた。
か、かわいい!!これは絶対に似合う!(コチラ参照)


なめ



細い皮ひもにキラキラのスワロフスキービーズがついている。
世良クンは男の子だけど、小柄だし小顔だし絶対似合う!(※当時はまだ小柄だった。)

二人してかなり惚れ込んだのだが、果たして世良クンがつけてくれるかどうか。
仔猫の頃から首輪をつける癖をつけておかないと、
相当嫌がるものなのだそうだ。


ちょっとしたお値段だし無駄になりそうだから悩んだのだが、
嫌がる様子も面白そうだし、かわいいね~とからかうのも楽しそうなので
わざと買ってやった。

世良クンにもクリスマスプレゼントである。



なーめ



帰宅して、おひざでリラックスモードの世良クンにつけてみると…
か………かわいい!!!!

いやちょっとマジでかわいいよ!
かわいすぎてからかうどころじゃない。
デ、デジカメ取ってくるからそのままじっとしててね、世良クン。


僕でこんな調子だから、彼女にいたってはかわいさに悶絶して息をしていない。
首輪よりはずっと軽くてうっとうしくないせいか、
それともこれをつけているから褒められているのが分かるのか、
世良クンはほとんど嫌がらずに少しの時間だったけどつけてくれた。

いや~、これは安い買い物だったよ~。
(いや、彼女へのプレゼントが高すぎるという意味じゃないけど)


それにしても、僕はもともと犬派だったはずだ。
飼うなら犬のほうが良かったし、世良クンはあまり僕にはなついてくれないから
もっと僕になついてくれる猫がいいとか、むしろ犬がいいとか、
そんな風に思っていたはずなんだけど。


もしかして僕はいつのまにか超猫派?というか世良派??


                     つづく


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我が家の魔神伝説?


『世良クンと僕』 【45】


2005年冬


我が家では月曜日になると、とある魔神が現れる、
そういう噂は聞いていた。


先日の月曜、熱を出して会社を休んでしまった僕は、
初めてその魔神を目撃した。その名も『ついてく魔神』


彼女が2階へ、下へ、移動する足音を追いかけて、
とてとて、とてとて、ついてく、ついてく、にゃああ~、にゃああ~。







なるほど…これが噂のついてく魔神か。


週末僕が休みで家にいると、
世良クンはいつもよりおねえちゃんにかまってもらえない。
二人で出かけてしまえば独りぼっちになってしまう。


そんな悔し寂しい週末を終えて月曜日が来ると、
世良クンはついてく魔神に変身するのだ。


しかし彼女は土日にはあまり家事をしない主義なので、
月曜は洗濯片付けなどたまってしまって大忙し。


彼女の足音がパタパタ、パタパタ、
ついてく魔神がとてとて、とてとて、にゃああ~~。


時おり、「もお~~忙しいのに~~~。」という声と共に
彼女の足音が止まり、魔神の鳴き声も止む。







のどを鳴らす音が聞こえてきそうだ。やれやれ。


                     つづく


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おにーちゃん、世良との同居1年を振り返って…


『世良クンと僕』 【46】


2005年冬


世良クンと暮らし始めて、そろそろ1年が過ぎる。


初めてペットを飼うことになる僕は、いろいろな決意をしていた。
世良クンをすごくかわいがる、優しくする、仲良くなる、なついてもらう…。







いったいどの程度、理想通りになったのだろうか。


僕は世良クンのすばらしい飼い主になりたかったのだが、
どうも世良クンは僕と彼女では明確に態度が異なる。


・僕が抱くと嫌がる
・僕の椅子を奪う
・僕と一緒には寝ない



なかでもこれは最近彼女に聞いて驚いたのだが、
僕が魚を食べているときだけ、つまり僕の魚だけ、欲しがるらしい。






なんで??


おねえちゃんが魚を食べるのは許すけど、僕は許せないの?
なんで??!


どうも僕はすばらしい飼い主どころか、
世良クンにとっては『外飼いの猫(ペット)』らしい。


昼間は外に出かけて遊びまわり、
夜にごはんをもらいに帰ってくる外猫。


しかも魚とか食ってやがる、
おまけにおねえちゃんと仲良くしやがる。


…そりゃたしかに、腹は立つよね、世良クンの立場からすると。


でもね世良クン、君のごはん代を稼いでるのも、僕なんだよ(涙)。


                     つづく


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同居初年の総決算?


『世良クンと僕』 【47】


2005年年末


今年の総仕上げ、だろうか。

2005年も押し迫って、僕の今朝の夢。


僕は戦っていた……世良クンと。







武器は手裏剣である。


ていっ!ていっ!


たしかに手ごたえはある…なのに敵はぴんぴんしている。


世良クン「ふははは!ちょこざいな!効かぬわ!」







くそ!なぜだ!負けるものか!



…まあそんな感じで目が覚めたわけですが。


………どなたかこの夢、夢診断してくれます?


                     つづく


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同居後、初の新年を迎えて…


『世良クンと僕』 【48】


2006年 元旦


謹賀新年。

今年、彼女は世良クンに芸を仕込むそうな。

「ぴょん、世良、ぴょん!」と言うと、
世良クンがジャンプして彼女のひざに乗ってくるという芸らしい。







まあ確かに…できてるように見えなくもないけど。
「ぴょ…」の時点でもうひざに乗ってきたりしてますけど。

それって「ぴょん」って言わなくても別にいいんじゃ…。
単に世良クンが乗りたいだけなんじゃ?

「う~ん、言うタイミングが肝心なの。」
やっぱり乗ってくる前に言ってるだけじゃん!

今もまた…
「世良、ぴょん!」
ぴょん、と世良クンが乗る。


「うん、世良すごい、かしこい、愛してる♪♪」
…勝手にやってください。








…後日。

以前チラッと書いたことのある、お向かいさんの坊や(推定4歳)が、
その日は力いっぱい不機嫌だった。

パパが出かけてしまって悲しいと、大声で泣き喚いている。
近所中に聞こえる元気なお声だ。

困ってしまったお母さん、なんとか落ち着かせようと、
坊やを自転車に乗せてサイクリングに行こうとなだめていた。

自転車に乗せてもらっても、坊やは泣き続けるばかり。

と…。


「にゃあ~ん。」


世良クンが窓の開いている網戸越しに、
坊やに向かって声をかけた。(ほんとにそんな感じだった)







「にゃんこ…ないてる…。」
「ほら、猫さんがなぐさめてるよ。『どうしたの?』って心配してるよ。」


「にゃあ~ん。」


「……………………。」


なんと坊やが泣きやんだ!


さっきまであんなに大騒ぎしてたのに、泣き声ピタリ。
世良クンやるじゃん!

『ぴょん』の芸なんかより、断然すごいよ!


                     つづく


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おにーちゃんは毎日、帰るコールを欠かしません。


『世良クンと僕』 【49】


2006年 冬


今日も仕事が終わった。
会社から駅までの数分は、彼女への電話で連絡タイムである。


もしもし~、今終わったよ~。

「お疲れ様~、今日は栗ごはんよ~♪」

栗ごはん♪嬉しい…!







会社であったことなど色々、話しながら駅に向かう。


「あら~、そうなの大変そう、でも…」「にゃあ~う!」

うん、だから6月くらいまでは…

「そうなの~。じゃあ…」「にゃーう!にゃーう!」







…僕ももう1年も世良クンと暮らしているから、
だいたいの感情表現は分かるようになっている。


この声は非常に不愉快、不機嫌な、世良クンの声。


「もう~、どうしたの世良は~。んん?」

あの~、もしもし?

「なに怒ってるんでちゅか?んもぉ。」(ママ声)


彼女はすでに電話は持っているだけの状態になっている。
あ、鳴き声がやんだ…。抱っこしてもらったな。


じゃ、さっきの続きだけど、そんなわけだから…

「うんうん、そうかぁ~…」「にゃーーうう!」







「あ、痛い痛い、世良。こら、なんで噛むの!」「うにゃー!」

「あ~もう。分かった、分かったから!」


まあ噛むって言ってもいつもの、甘噛みちょっと強のあれだろうけど。


「ごめんね~、なんか世良が怒ってるから、電話切るね。後でね~♪」


うん…。

プツン。ツーツー…。



………この敗北感はなんなんだっ!


                     つづく


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仲良しカップルも、たまにはケンカする。


『世良クンと僕』 【50】


そこそこ最近のこと


滅多にないこと、彼女と世良クンがケンカをした。
年に一度、あるかないかだろう。

「うにゃー!」「なによ、世良なんて。ふん。」とかやっている。
その様子はまるで恋人同士の痴話喧嘩だ。

事の発端は、彼女が世良クンを抱っこして、
世良クンの名前を出しつつテレビかなんかについて話していたことだった。

それは別に世良クンを馬鹿にしたような内容ではなかったのだが、
ちょっと世良クンをからかってるような感じに聞こえないこともなかった。

そこですっかり誤解したらしい世良クンが突然「うにゃー!」
僕にはしょっちゅうだけども、彼女には絶対出さないような声で鳴いて、膝から降りた。

そんな世良クンの態度にショックを受けた彼女が「なによ!」とかやっているのである。







なにかいかにも、カップルにありがちな感じがする。

女の子が彼氏の名前を出しながら何気ない話をしていたら、
馬鹿にされたと勝手に勘違いした男が急に怒り出し、
怒られたことにびっくりした女の子が「なによ!」。

うわー、ありがち。

というか、なんでうちの奥さんと猫はこんな痴話喧嘩ができるんだろう。

普通、猫と飼い主のケンカと言ったら
猫がいたずらをして、それを飼い主が怒ったら猫がすねたとか、
猫が逆切れして怒ったとか、そんなものじゃないの?

とか思いつつ、この二人、別れるかなぁ、ニヤニヤ、などと
意地悪い視線で見ている僕である。

そう、まるで片思いの女の子には彼氏がいるから何も言えずにいるけど、
2人がケンカをしたと聞いて別れないかな~、と見守っている、
度量の狭い男のように。







でも翌日には2人はすっかり仲直りしている。
現実とはこんなものだ。


仲直りはこんな感じだったらしい。
翌朝、目覚ましが鳴っても、世良クンが彼女を起こさなかった。
いつも偉そうに起こしに来る世良クンが。

彼女が目を覚ますと、足元のほうで向こうを向いてる世良クン。
こっちを見てないけど、眠ってるわけじゃない、
まだケンカ体勢の世良クンがいたそうだ。

そんな世良クンを見ていじらしくなった彼女が、まず折れて
「世良、おはよう」と声をかけた。

すると世良クンはパッと振り返り、「おはよう、ごはんごはん!」と言ってきた。

ひとしきりごはんをがっついた後、今度は世良クンの方が、
「にゃあ~」と鳴きながら彼女のそばに近寄ってきた。

そしたらもう2人はすっかり仲直り。ラブラブである。
うん、愛し合う2人はこんなに簡単に仲直りできる。


だからなんで僕は奥さんと猫を見ながらこんなことを思わなくちゃいけないんだろう。



僕のほうはというと、ケンカをしても彼女のほうから折れてくれないことは分かってるので、
できるだけケンカはしないようにしてる。


                     つづく


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おにーちゃん、そう来るか?


『世良クンと僕』 【51】


そこそこ最近のこと


最近僕は世良クンとちょっと仲がいい。







僕がスリスリしていっても世良クンさほど嫌がらず。
しっかり仲良くしてから離れると、
彼女がなにやら不満そうに世良クンに語りかける。


「なぁに~?世良はおにいちゃんのほうがいいの?
おにいちゃんが好きなの?ふうぅぅーん。」








あぁ…だからそういうことを言うから
世良クンと僕はあんまり仲良くなれないんだよ…。
彼女にそういうことを言われると世良クンは途端に僕によそよそしくなるんだよ…。


と、文句を言ったら、


「なによ、じゃあたとえば私に新しい男ができたらあなたどうする?!
同じこと言うでしょうが!」



いや、それとこれとは話がちょっと違うんじゃないかと…。


「違わない。同じでしょ。」


(真顔で言われた…。本当に同じなのか…(汗。)


「そしたらどうする?あなたも文句言うでしょ!」


いや、死ぬから。


「……いやいやいや!!なんでいきなり死ぬの!もっと段階を踏もうよ。
まず私を怒るとか、相手の男を殴るとか!」



うん、じゃあ段階を踏もう。
まず縄に首を通す。
そして台を蹴る。



「即終わっちゃうじゃないの!!!」


                     つづく


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おにーちゃんと世良の攻防


『世良クンと僕』 【52】


そこそこ最近のこと


世良クンが不機嫌である。

箱座りしながら「うなぁ゛~」と鳴いている。
両耳は後ろを向いていて、不機嫌この上なさそうである。







どうせ、おねえちゃんが忙しくて相手をしてくれないとか
ちょっと肌寒いとかそういうことだろうと思う。


世良クンが僕の方を見て「うなぁ゛~」と鳴く。
普段だったら、「どうしたの?世良?」と撫でてやるところだが、
勝手に不機嫌になっているところを毎回撫でるのも教育上どうかと思い、
今回はちょっと対抗して、
僕も鳴いてみることにした。





世良「うなぁ゛~」


僕「うなぁ゛~」


世良「うにゃぁ゛~」


僕「うにゃぁぁ~」


世良「うな゛~!」


僕「うな~!」


世良(ゴロゴロゴロ・・・)


僕(ゴロゴロっ!?)


世良(ゴロゴロゴロ・・・)



そうきたか・・・。


                     つづく


  ↓ それは真似できない。おにーちゃんにポチ。


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どんな夢を見ますか?


『世良クンと僕』 【53】


そこそこ最近のこと


僕に対する警戒心がかなり解けてきた世良クンは、
僕が隣にいても昼寝をするようになった。

寝ている世良クンをじっくり観察できるようになって
気がついたことがある。

一定周期でピクピク体を動かしているのである。
(これを我が家では”ピクにゃん”と呼んでいる)

はじめて見たときは、痙攣を起こしているのではないかと
本気で心配してしまったものである。







どうやら猫も夢を見るらしく、いわゆる浅い眠りで眼球運動が
起こるレム睡眠というやつらしい。

世良クンは時には「ウー」と寝言さえ言う。
いつもピクにゃん状態の時は唸り声を上げたりするので
夢見が悪いのだと思う。
きっと僕に抱っこされている夢でも見ているのだろう。







夢と言えば、僕も夢見が悪い。
仕事が忙しいときは仕事が進まない夢か
コンピューターシステムの深刻なエラーが発生する夢
大事な用事・案件があるときはそれに遅刻する夢
正体不明の何かから逃げ回る夢を見る。

意外にも世良クンとはそんな共通点があるのかなと思って
寝ている世良クンを眺めていると、昼寝していた彼女が2階から降りてきた。


「ねー、聞いて!バイオリンを弾いてる夢を見たの!」
「しかも初めてなのにもう完璧に弾けるのよ!!凄くない私?!」


クラシックのCDを聞いただけでそんな夢を見る彼女が
本当にうらやましい。


                     つづく


  ↓ 妻との共通点はあまり見つからない、おにーちゃんにポチ。


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世良くんのお返事バリエーション


『世良クンと僕』 【54】


そこそこ最近のこと


世良クンはお返事猫である。
話し掛けると必ずと言っていいほど返事をしてくれる。


その返事のバリエーションも様々で、
機嫌がいいときはゆっくりと高い声で「にゃあ~ん」だし、
窓の外を見るのに夢中なときは、こちらを振り返りもせず面倒くさそうに
「にゃぁ~・・・」とおっしゃる。


まるで人間がしゃべっているようだ。


そんな世良クンは最近また新しい返事をマスターした。
それは、例えばこんなシチュエーションで発動される。


(世良がドアの前に立ってこちらを見ながら)







世良:「にゃああ~~」(訳:開けて~)


自分:「はいはい、今開けるからね~」


(ソファーから体を伸ばしてよっこいしょとドアを開ける)


自分:「はい、開けたよ。」







世良:「にゃっ!!」(訳:ご苦労!)


自分:「『にゃっ!!』って何だよ。『にゃっ!!』って(笑)」







お礼を言っているようで、この上なく偉そうでもある。

ドアを開けるたびに、窓を開けてあげるたびに。
世良クンはこのお礼とも何とも言えない「にゃっ!!」
連発するのであった。


                     つづく


  ↓ おねーちゃんとはちょっと違う対応をされる、おにーちゃんにポチ。


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猫はいつでも足から着地できる?


『世良クンと僕』 【55】


そこそこ最近のこと


聞くところによると、
猫とは一般的に機敏でバランス感覚に富んだ生き物らしい。


昔読んだ理科の本か何かに、
猫が高いところから落ちてしまった時の連続写真が
載っているページがあった。


なるほど、仰向けの状態から落ち始めた猫は、
回転しながら体勢を整えて
しっかりと4本足で「ピタッ!」と着地している。

小さい頃の僕は猫のそんな動きに感心したものだった。





でも、世良クンは違った。

ある時、抱っこされたまま、
ちょっと元気におねーちゃんの腕から横向きのまま飛び出した世良クンは、
あろうことかその姿勢のまま、横向きのままで、
床に「ビダッ!!」(という音がした)と
着地したのである・・・。







世良クンは一瞬そのまま固まり、逃げていってしまった。
すかさず妻がフォローを入れた。


「やあねぇ、ほら、世良ってしっぽが短いでしょ?
だからうまくバランスが取れないのよ。」







…たしかに、猫は尻尾でバランスを取るとかいう説があるようだが。


しかし世良クンは椅子に飛び乗る時は、
あの短いウサギしっぽを隣の椅子にぶつけるし、
開いたままにしてあるガラス戸に頭からぶつかって、
すごい表情をしているときがある。


そんな世良クンだから、きっと長いしっぽがあったとしても
「ビダッ!!」と落ちると僕は思う。


                     つづく


  ↓ 正しい猫の知識を吸収中。おにーちゃんにポチ。


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猫アレルギーですか?


『世良クンと僕』 【56】


去年のこと。


僕は子供のころから肌が弱い。

夏になるとどうしても湿疹が出やすくなる。
今年は首の裏に湿疹が出るようになってしまった。







皮膚科に診察に行くと、
原因特定の参考のために
アレルゲン検査(血液検査)をするという。

僕はアレルギー体質でもあるので、
さぞかし色々なアレルゲンが検出されるだろうなぁと思う。

検査の結果は翌週である。







~~ 翌週 ~~

皮膚科の先生が検査結果を手に持ちながら説明を始める。


先生「ええと、花粉と、ダニなどのハウスダスト、それから・・・」


僕「はい。」


先生「『猫』ですね。」


僕「猫ですか!?」


先生「猫飼ってます?」


僕「ええ、一匹ほど。」


先生「ふ~ん。そうですか・・・。」


なぜか猫の話はそこで終了した。



世良クンと一緒に暮らして以来、
特にアレルギー症状というのは出てきていない。
顔をぐりぐりしてもお腹をもふもふしても
くしゃみ一つ出ない。







結論としては、
やっぱり世良クンは猫じゃないんじゃないかと思う。



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ベンちゃんの受難


『世良クンと僕』 【57】


結婚生活が始まって4年、我が家で一番成長したもの・・・

それはきっと、
新居にベッドより先に搬入された我が家の古株中の古株、
観葉植物の『ベンジャミン君』その人であろう。







ベンジャミン君は、ときどき災難に見舞われる。


朝、世良クンが妻を起こし、意気揚々と1階へ降りて行く。
そして、ベンジャミン君の鉢に手をかけ、葉っぱを食べようとして
「世~良~!だめ~!」と妻に怒られる。

これが年中行事のようにしつこく繰り返されるのである。







食べたいのなら普段から食べるだろうに、
食事の前だけしかこの行為は行われないということなので、
世良クンにとっては一種のレクリエーションなのだろう。


そして、最近またベンジャミン君は
別の大きな災難に見舞われたらしい。


ある日、家に帰ると
ベンジャミン君がいつもと変わった様子だったので、
妻に確かめてみると、


「あのね、ベンちゃん(ベンジャミン君の愛称)が汚れてたから
 お風呂に入れたの・・・。」とおっしゃる。


どうやらホコリを取ろうとして、ベンちゃんにシャワーを浴びせたらしい。
根腐れしたりしやしないか…?


おそらく生まれて初めてだったろう、
頭の上から水を浴びせられたベンちゃんは、
かなりのショックだったらしくこの後みるみる元気がなくなった。
春だというのに新芽も出せず…。

そんなベンちゃんも初夏になって、ようやく無事新たな若葉を出してきた。
ショックから立ち直ったらしい。







こんな過酷な環境の中で若葉を出したベンジャミン君は
この4年間で一回りも二回りも成長してきたに違いない。


精神的な意味で・・・(汗


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警備隊長の目的


『世良クンと僕』 【58】


我が家の警備隊長は雨の日でも嵐の日でも警備を欠かさない。

これが人間のガードマンだったり、近衛兵だったりしたら
立派な(当然の)仕事ぶりであるが、
何せ我が家の隊長は猫なのである。
しかも、警戒対象は「外猫ちゃんのみ」である。





                   写真選びを間違えている
 

外猫ちゃんが家に近づくと唸ること唸ること。
大抵は無視されるのだが、
たまにつきあってくれる猫ちゃんもいるらしい。


そんな世良クンは「雨が降ってるから外の猫ちゃんも来ないよ」と言われても、
一向に警備をやめる気配はない。
敵は嵐の時にこそやってくるかもしれず、
1分1秒たりとて油断はできないのである。





                 普段はちゃんとしてるんですよ。


どうして世良クンはこんなに警備に熱心なのか妻に聞いてみたことがある。
答えはこうだった。


『外の猫ちゃんが家に何らかの事情で入ってきたら
 世良の立場が危ういでしょ?』


なるほど・・・と思った。

例えば、僕か妻が外から子猫を拾ってきたとしよう。
どうしても妻はその子猫を世話する時間が増えてしまう。

世良クンにとっては、見知らぬ人間(僕)がやってきた以上の
ピンチが訪れることになるのだ。







だからあんなに頑張って警備しているのか。
世良クンも大変なんだなぁ・・・。


それからというもの、僕の警備隊長を見る眼が少しだけ変わったのである。


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おにーちゃん、「娘さんをください!」の巻…


『世良クンと僕』 【59】


世良クンと暮らし始めてもうかれこれ数年になる。

世良クンと初めて会ったのは妻と暮らし始めてからではなく、
妻の実家に結婚(を認めてもらうため)の挨拶に行ったときである。

結局世良クンに触ることはできなかったけれど、
色々と楽しい事件も起こった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

○年△月×日

彼女の実家に結婚のご挨拶に伺うこととなった。

ご挨拶がどのような展開になるかはとりあえず置いておいて、
彼女の実家には5匹の猫ちゃんがいるという。

年齢順に紹介すると、

臆病でマイペースなみるくちゃん♂
紅一点、最強お姫様フランちゃん♀
外猫でありながら上手く家に入り込んだクロちゃん♂
好奇心旺盛なロシアンブルー(に見える)ルイ君♂
そして、後に一緒に暮らすこととなる『世良クン』である。

みんな拾ったり、拾った子が妊娠していて産まれた子達らしい。





                 現在余裕の一人っ子


僕はせめて一匹でも仲良くなれたらいいと思っていたけれど、
みんなお客様は苦手なので難しいとのことだった。


新幹線と地下鉄を乗り継ぎ、彼女の実家に向かう。
そこまではあまり緊張することもなかったけれども、
実家の前に着くと、一気に緊張が押し寄せてきた。

猫ちゃんのことなど、もうどこかに行ってしまっていた。
彼女と一緒だったのでチャイムは押さず、居間に入っていく。

『おじゃまします。』

声が裏返りそうになった。

(ドタドタッ!!)

猫が蜘蛛の子を散らすように逃げていくのが見えた。
5匹いるはずなのに、あっというまに視界に猫がいなくなった。


とりあえずお義父様とお義母様に挨拶を済ませ、ソファーに座り
ガラスのテーブルを挟んで、決して楽しくはないお話タイムとなる。

他愛もない世間話をしながら、お決まりの台詞、『娘さんを下さい!』
出すタイミングいつになるのか、ドキドキしていた。







すると、ふいにガラステーブルの下に置いてあった
白っぽい物体Xがモゾモゾと動き出した。
クッションか何かと思えたそれは、
猫だった・・・。

チャイムが鳴らなかったとは言え
もう上がりこんでしばらくになるのに、
他人が来ていることに気がつかないこの子は
さすがマイペースと定評のある『みるくちゃん』らしい。

人が一生に一度あるかないかの結婚の挨拶に来ているというのに、
なんとものんきなものである。

みるくちゃんは一度背伸びをすると、一歩、二歩、前に歩いて
こちらを振り返った。

『ひゃーーーー(なんか知らない奴~)!!』


声にならない声を出した(ように見えた)みるくちゃんは、
これまで僕が見たどの猫よりも高速で逃げていった。
手とか足とか色々空回っていたように見えた。

さっきからずっと僕、いたじゃんよ。
なにそののんびりかなにか分からない反応は。

おかげで僕はすっかり緊張が解けたけど。

しかし、緊張が解けたといっても結婚が許されたわけではない。
他愛も無い話を何度か繰り返した後、
さて、本題に入りましょうかというところで、お父様が

『では、一局お願いできますか?』

とおっしゃった。


             つづく・・・



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前回の続き。おにーちゃんが申し込まれた対局とは…?


『世良クンと僕』 【60】


―――では、一局お願いできますか?


お義父様のおっしゃった『一局』とは”囲碁”である。

お義父様の昔からの口癖は、
『俺より碁の弱い奴に娘はやらん。』
だったそうで、自称五段の腕前とか。
地区の大会でも3年連続優勝しているらしい。

「俺より~」の言葉は冗談なのだろうけれど、
彼女は同世代の人間には碁が強いどころか、
碁を知っている人間すらいなかったため、
一生嫁にいけないんじゃないかと思ったそうだ。

そこで、囲碁の強い男を探し求めた・・・わけではなく、
付き合って結婚を考えた男性(僕)が偶然
囲碁が強かったのであった。







彼女とお義父様は、挨拶に先立ってこんな会話を交わしていたらしい。

彼女『あのねお父さん。紹介したい人がいるの…。』

父『うん?そうかそうか…。
  (ニヤ~と笑って)「ワシに囲碁で勝たんと娘はやらん!」って言ったろか。』


彼女『(にこ~と笑って)彼、学生時代ずっと囲碁部で
   囲碁の講師のアルバイトもしていたらしいのよ。』

父『どひゃ~!!』(とひっくり返る)(←大げさでなく)

しかし体勢を建て直し。

父『ううぅ。…やったろやないかー!』

と、前日は気合を込めて碁盤を磨いていたらしい。







この会話を聞いて、
もしも自分に娘が産まれても滅多なことは言わないようにしようと思った。

「俺より囲碁の弱い奴には…」なんて言っていたら、
今度は娘が偶然プロ棋士を連れて来るなんてことになるかもしれない。


実際の対局の方はというと、終始僕の優勢で進んだ。
その頃になると逃げ出していた猫たちが部屋に戻ってきていた。
世良クンは見かけなかったけど。


終局直前、クロちゃんが碁盤にやたらとスリスリしはじめたので、
お義父様が劣勢になったら盤上を荒らすように
仕込まれているのではないかとちょっと焦った。
しかし、何事もなく無事終局し、そのまま勝つことができた。

「仕込んでおけばよかった。」とはお義父様の後日談だとか。

クロちゃんだけでなく、ルイ君もそばに来てくれて、
正座している僕のお尻のあたりをさんざん嗅ぎ回っていった。

彼女が言うにはこれは猫の習性の一つで、
「新入りがまた拾われてきたみたいだからとりあえずお尻チェックしておくか」と
思われたのではないかと。
やっぱり僕は猫扱いですか、そうですか。







そして結局、決め台詞『娘さんを下さい!』は言いそびれてしまった。

でも後日、お義父様が

『だって、ワシ、負けたもん。』

とおっしゃっていたらしいので、結婚は認めてくれたのだと思う。
『芸は身を助く』とはまさにこのことである。


その日は夕飯をごちそうになってから帰宅したのだけれども
同居することになる世良クンに触れなかったことだけが
唯一の心残りであった・・・。



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